チラシには指揮者の佐渡裕さんの紹介文が寄せられています。これを読んだら期待せずにはいられないでしょう。引用します。
彼が僕の楽屋を初めて訪れたときのことを思い出す。初対面の僕の突然のリクエストに、彼は恥ずかしそうにうつむき加減で、ピアノの前に座った。でも、一旦鍵盤に指が触れると、彼の身体に音楽の神様が舞い降りた瞬間を見るようだった。ピアノを弾く姿が、あまりにも美しく、美しい音が僕の心に染み込んで、感動した僕は涙を抑えることが出来ず号泣してしまった。
さぁどうだったか!?
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ショパン
幻想曲 ヘ短調 op.49
子守歌 変ニ長調 op.57
舟歌 嬰ヘ長調 op.60
スケルツォ第2番 変ロ短調 op.31
ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 op.27-2 「月光」
ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 op.57 「熱情」
アンコール
辻井伸行:川のささやき
辻井伸行:ロックフェラーの天使の羽
ショパン:前奏曲 ニ短調 op.28-24
曲が始まって1秒で感動する、なんて経験ありますか? なーんて、このブログではいつも必要以上に大げさに「感動だ!感動だ!」なんて言っている僕なので、あんまり説得力がないかも知れませんが(SKN←そんなの関係にゃい)。
曲が始まってすぐに心動かされる、その曲を全く初めて聴くのに。それはショパンでもベートーベンでもなく、自作のアンコール曲ででした。もちろんCDもその場で購入しましたよ。2枚組。こちらデス。今から聴きこみます。
辻井伸之「debut」
ショパンも良かったですよ。実はすべてが初めて聴く曲。持っているCDには絶妙に入っていないものばかり。1曲目の幻想曲の天真爛漫さや3曲目の舟歌の美しさはまさに「聴いたことない感じ」でした。ベートーベンも「熱情」はイマイチ盛り上がりにかけたものの、「月光」はもうこれは凄まじいものでした。鳥肌が立つっていうか。僕がよく聞くバックハウスさんの演奏とはもうじぇんじぇん違う。
辻井伸行君の演奏の何がすごいのか、違うのか。あくまで無責任に、演奏を聴きながら僕の頭に浮かんだイメージは…
・ピアノの音が図形的。音が増えれば増えるほど丸に近い多角形になるイメージ。
・もしかしたら僕らには感覚的にしか捕らえられていない、そんな↑音の図形イメージが、彼には「見えて」いるのかも知れない。
・ベートーベンさんの顔も見たことないわけで、もしかしたら僕らの感覚よりもずっと「同時代的な」とらまえ方をしてるのではないか?と思うくらい、極めて自然、そして「自分のものになってる」演奏だった。
うーん、言葉にできない。
驚異的なのが「ミスがほぼゼロ」ってこと。若手の勢いあるピアニストさんの演奏って、みずみずしさがある反面、盛り上がりに比例してミスって言うか弾き間違い(横の鍵盤に指がかかったりとか)が増えるものだと思うのですが、彼はどんなに盛り上がろうが速くなろうが、全く間違えない。この間違えなさは今までみたピアニストの中ではダントツです。我々は目で見て「白と黒の鍵盤が88個」と認識しているものを、もしかしたら彼は全然違う感じで認識してるのかも知れません。歌うように滑らか。
自分の体験や経験値、気持ち、そんな自分自身を音に置き換えられるのは、天からの才能を与えられた一部の人々に限られる、よなぁ。
・・・
今日のお席はA席。でもほぼホール最後列。音はきれいに聞こえるけど、もっと表情が見たい!ってことで休憩後は空きが目立っていたホール右側奥(ほぼ演奏者の真正面)に勝手に移動。ピアノの音が若干二重に聞こえぎみだったのですが、やっぱり反響音よりも直接音の方が僕は好きですね。「近く至上主義」になりつつあります。
休憩中はまたまた赤ワインをたしなんでみたり。2階からロビーを見てみると、ピアニストの横山幸雄がいるじゃん。現在のトップ・オブ・日本人ピアニスト、ということに異論を挟む人はそんなにいないんじゃないかと。辻井君は大学で彼に師事しているそう。それから生島ヒロシさんも発見。髪の毛真っ黒だったから染めたばっかだったのかな?他にも後半の席のすぐ後ろにいた、やたら業界に詳しいおじいさんの話によると(奥さんと話してるのを盗み聴き)、音楽関係者、音楽雑誌関係者がたくさんいたらしいです。ちなみにそのおじいさん、「月光」終了後、「横山が教えるとああなっちゃうんだよな」と言ってました。ホントか!?
終演後CDを買ったので握手会に参加してきました。テレビもまわってたから、いつか映るかも!?なんて下らない考えは別にして。やっぱり人間に興味を持つことが、音楽により興味を持つことにつながりますからね。やっぱり手は大きかった。
それから勢いで本も購入。お母さん著。ショパン国際コンクールへの挑戦をメインに、少年時代から今に至るまでの日記ドキュメンタリー。まだ読んでる途中ですが、買って大正解。今晩中に読みきる勢い。冒頭の佐渡さんの話も載ってます。
のぶカンタービレ! 全盲で生まれた息子・伸行がプロのピアニストになるまで(著:辻井いつ子)
ふー…。興奮さめやらぬ感じで書いてきましたが、全然よくわからん。なので是非ご自分で検索したりしてみてください。
日曜日はみなとみらいホールに、横山幸雄のラフマニノフほかを聞きにいってきます。
豊かな人生って何だろう…orz
今日偶然に この演奏を聴きましたが本当に素晴らしくて ただただ聞き入ってしまいました。会場に行かれた方々が羨ましく思いました。私もお母様の書かれた本是非求めたいと思います。今日の偶然に感謝!
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