過去文書「タイム」

久しぶりに昔に書いたものを引用。昔と言っても比較的新しめ?。2003年の2月に公開しています。タキムラ君もA君も既に社会人。時の経つのは早いなぁなんて絶対言うもんか!

「タイム」2003年2月24日 カモノハシ通信にて公開

僕が水泳部コーチ時代に中学生だった子が、この春から大学生となりコーチを引き継いでくれることになりました。タキムラ君です。僕が唯一3年間見た学年(あのヘンテコな5人組!)の1人。本当に嬉しい。

近々彼がデビューするということなので、彼に何かアドバイスできることは無いかと思い、自分の過去の水泳部日記を読み直してみました。読み直してみると、それは本当にタイヘンな日々でした。何も無い日は1日たりともありません。本当に、毎日毎日何かしらの事件が起きています。それだけに想い出の多い、充実した日々だったのでしょう。

正論を言えば僕が彼に今更アドバイスするというのは正しいことではないのかも知れません。「オレの教えることはもはや無い。キミにはもう全てのことを教えてあるからさ!」なんて。でもそんなことはないんですよね。僕はそんなにできたコーチではありません。もっとたくさんのことを伝えたかった、アレもコレも…とはっきり言って後悔することばかりです。良く言ってることですが、あの日々に"悔い"はないけれど、具体的な"後悔"(と反省と)はヤマのようにあるわけです。

とにかく当時彼は中学生だったわけで、そしてまだ高校生なわけで、しかも今回はたった1人でのコーチという厳しい状況なわけで、先輩として何かしらアドバイスしてあげられたらなぁと思っています。おせっかいにならないように注意しながら。

で、過去の水泳部日記を見て思い出したあるエピソードがあるので、それを忘れない内に書いておこう!というのがこのコラムの目的です。(前置きが長いなぁ。タキムラ君のことやコーチを引き継いでもらうことについては、きっとそのうちに書くでしょう。)

あれは98年12月のスキーのときのことでした。当時、僕と事あるごとに対立していた中学3年生の子(仮にA君(笑))がいたのですが、そのスキーのときもあることで僕とその子は冷戦状態。スキーの期間中ほとんど彼とはしゃべることもなく(僕が大人気ないな。でも怒っていたとかそういうのではなくて、どうすれば自然に会話ができるようなるかを考えていたわけです。)ついに帰りのバスに乗り込みました。ところがそのバスの中でこともあろうに僕とA君は隣どおしになってしまったのです。今から思うとあれはイノウエコーチらの計らいでしたね。バスの一番後ろの5人がけの席の一番左の窓側にA君、その右に僕。

そんなわけで僕とA君は久しぶりに会話をすることになりました。僕はできるだけ自然に「高等部でも水泳を続けるんやろ?」とか「どんなCDもってんねん?」とか。でもまだなんとなくギコチナイ雰囲気です。たぶん僕もA君も「なんで夏のときのように話ができないんだろう…」って思ってたはずです。

で、話が水泳のことに。彼らの引退試合のこと。A君が僕に聞きました。「クロさんはあのときに僕が出したタイムとか覚えてますか?えーと1分4秒……いくつだったかな?」と言って自分で考え出しました。「1分4秒01」。僕は瞬時に答えました。「もう少しで4秒切れたのにな。」「そうだ、そうすよ。だけどあのタイム計ってたのクロさんだったでしょう?だからきっと本当は1分4秒30くらいだったはずですよ。」「ははは、かもな」

そうあのタイムを計ってたのは僕でした。他に予備のウオッチも2人いましたが、結果的に最も速かった僕のタイムを正式タイムとして採用しました。でもあれは確かに早かった、ウオッチを止めるのが。僕としてはなんとか彼に3秒台を出してもらいたかったので、かなりの「希望的観測」でゴールのときにウオッチを押してしまったわけです。そういうことも彼はわかっていたわけです。

そんな話をした後では、対立していたことがウソのように自然に会話ができるようになりました。タイムを覚えていて良かったぁ~、という感じですね。でも彼のタイムは常に気にしていた数字だったので、覚えていたのはいわば当たり前なんですよね。

「タイムを覚えていてくれた」そんな単純なことで、時として中学生は心を開いてくれることもあります。それは単純そうに見えますが、実はけっこう深いことなのかも知れません。なんて随分と偉そうな話になってしまった…。

新しくコーチとなるタキムラ君に一度話しておきたかったエピソードの1つです。ちなみに言うと、僕と最も対立していたそのA君ですが、たぶん僕に最も仲良くしてくれたのも彼です。僕が社会人になってからも、何度か幕張まで遊びにきてくれました。(まぁコンサートとか何かのついで、というのがあるんだけど。)A君が誰かだなんて、もはや明かす必要はありませんね。ではまた。


その後コーチとして頑張ってくれたタキムラ君についての、僕が嬉しかったエピソードはこちらデス。
→「KGST012 コーチの一言」


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