NICU体験記(1)

わが子は予定日より1ヶ月半ほど早く生まれました。そのため生まれてすぐからNICU=新生児集中治療室に入院。クベースと呼ばれる保育器の中でしばらくの間をすごしました。

生まれた週数は33週と5日。出生体重は2126g。僕は「思ってたより大きい!」と思ったのですが、ハーマイオニーさん(奥様=魔女)は「小さい」と思ったらしく、少々ショックを受けていたようでした。

毎日通います


そこから毎日、NICU通いの日々が始まりました。ハーマイオニーさんは産後しばらくの間、入院生活なので、お昼の空いた時間にちょくちょく会いにいっていたようです。僕は仕事を定時に切り上げダッシュで家に帰り、EOSを持ってミトで病院に向かいます。面会時間は20時までなので、うまくいけば1時間以上は面会できるのです。

ハーマイオニーさん退院後は、日中は歩いて、夜は僕と一緒にミトで病院に通いました。

毎日母乳を届けます


この頃になるとハーマイオニーさんも母乳が出るようになるので、それをNICUに持って行かなければなりません。3時間おきに搾乳し、それを母乳パックに入れ冷凍させます。一応、夜も3時間おきに起きて搾乳することが前提ですが、そこはまだ無理の無い範囲で。とは言えハーマイオニーさんはどうにか夜中に起きて搾乳していました。赤ちゃんが実際にいれば夜中に起きることもまだどうにか可能でしょうが(起きざるを得ないから)、いないのに夜中に起きるのはものすごい精神力を要します。そりゃそうですよね。たまに寝過ごしたりもしてましたが。

手で絞るのはタイヘン&痛いとのことで、こちらの電動搾乳機を買いました。スイスのメデラという、搾乳機では有名なメーカーらしいです。お値段2万1000円。痛い…とは思うまい!実際、非常〜に役立ちました。というか搾乳機ないと無理でしょう。

電池駆動もコンセント駆動も可能。

ちなみに母乳を保存する母乳パックはカネソン母乳バッグを愛用。これも地味に高いんですよね。消耗品ゆえに…。

冷凍された母乳をNICUに届けると、我々が居ないときでも都度それを解凍して子に飲ませてくれます。もちろんおっぱいの出ないお母さんもおられるでしょうから、その場合はミルクを作って飲ませてくれます。

この冷凍母乳は退院後普通に授乳するようになってからも便利に使えるようです。余裕のあるときに搾乳して冷凍しておくことで、例えば夜中に僕がそれを温めて子に与えることができます。妻は寝たままで。

この時期、歩いて病院まで往復するのはかなりこたえたようです。やはり産後の体なので。

ただ世のお母さんが、産後のボロボロな体で新生児の世話を1日中することから比べれば、NICUに子がいるという状況は助かりました。大人側の事情ではありますが、こちらの時間に余裕はありますし、なにより専門家に24時間見てもらえているという安心感があるからです。

最初の5日間


クベースの中の子には点滴が刺さっています。そのためまだ抱っこはできません。また、吸う力が弱くミルクはチューブで直接胃に届けらるため、おっぱいはおろか哺乳瓶の使用もまだまだです。チューブを胃に通すのは赤ちゃんでも嫌なことらしく、一度通したチューブはなるべく外れないようテープでしっかりと固定されています。

シェーのポーズ。

この時期の僕らにできることは、体に触れることと、あとは体を拭くこと。僕はやらせてもらえなかったのですが、ハーマイオニーさんはナースさん指導のもと体を拭いていました。クベースの窓から手を入れて、触ったり拭いてあげたりします。




写真を見るとちょっと痛々しいですが、起きてるときは手足を大きく動かしたり、のびをしたりと元気に過ごしていましたです。

そうそう、案の定、黄疸は出ました。新生児で特に低体重だとほぼほぼ出るそうなのですが、若干数値が悪かったらしく3日間ほどは光線治療してもらっていました。

近未来の赤ちゃん!?

祖父母面会


自分の両親を「祖父母」と表現するのにはまだ慣れていないのですが(^_^;)、生まれて5日後に僕の両親が赤ちゃんと面会しました。祖父母面会というやつです。

前回も書きましたが、祖父母面会は1ヶ月に1回と決められています。しかも面会時間は14:30〜15:30までの間のみ。きっと病院には様々な問題や配慮に満ちているのでしょう。NICUの中にはさまざまな機材が置かれており、決して広くはありません。しょちゅうワヤワヤ来られても診療の妨げになるのでしょう。賢明だと思います。


緊張感


漫画「ブラックジャックによろしく」を読んだことがある人はわかると思いますが、NICUってまさにあのまんまです。赤ちゃんごとにセットされた機会からは、しょっちゅう警告音が鳴ってます。決して耳をつんざくような音ではなく、柔らかめに調整されたピンポン音もしくはパフパフ音なのですが、それでも耳につきます。(そりゃもちろん耳につきやすいように設定されている音なのですから。)

幸いうちの子は大きな問題なく過ごせていましたが、まわりの赤ちゃんの中には重篤な症状の子がいたり、ときおり呼吸が止まっちゃう子もいたりと、やはりそこはNICU=新生児集中治療室なのです。

入室する前に前室で手を洗うのですが、そこの扉の窓から中を見ると、うちの子のクベースの周りに多くの医師やナースが集まって深刻そうな顔をして話し合っているときがありました。それを見た僕とハーマイオニーさんは生きたここちがしなかったと言います。(実はそれは緊急で運ばれてきた別の赤ちゃんで、うちの子は別の場所にクベースごと移動させられていました。その赤ちゃんには悪いけど、正直心から安堵してしまいました。)

ただ医師やナースさんはいつも笑顔で落ち着いて対応してくれました。それでどれだけ助けられたか。四六時中鳴る警告音や、絶え間ない赤ちゃんの鳴き声の中24時間体制で勤務しておられる医師やナースの皆さんには本当に頭がさがります。そんな激務の中、われわれにいつも笑顔で対応してくれたことには心から感謝しています。

というわけで続きます!ではまた。



0 件のコメント :

コメントを投稿