1973年のピンボール

636c86ca.jpg僕の好きな作家は村上春樹さんです。実を言うと村上春樹マニアと言われても仕方ないほどです(もっとマニアな人は世の中にたくさんいるけど)。考え方や生き方はもちろん、現実的な行動や旅行先まで影響されています。

先日「アフター・ダーク」という新作が出ましたが、それと同じタイミングで講談社文庫の一部作品が新レイアウトで再発売されています。先々月が「風の歌を聴け」と「ノルウェイの森」(上/下)。先月が「ダンス・ダンス・ダンス」(上/下)と「回転木馬のデッド・ヒート」。そして今月が「羊をめぐる冒険」(上/下)と「1973年のピンボール」です。もちろんもとから全部持ってる(それどころ少なからず2冊以上ある)わけですが、やっぱり全部買ってしまいました。

新レイアウトということで、大きく変わっているのは文字が大きくなっていることです。これだけでだいぶ印象が違っている部分があります。全般的には読みやすくなっていて、読んでいて気持ちいい感じです。

そういうことが影響したのか、しないのか、これまでにも何度となく読み返している作品であるにもかかわらず、また新たな発見があったりします。たとえばこの「1973年のピンボール」。

この作品の最重要キーワードはおそらく「配電盤」であると思います。いくたの「解説本」にも書いてるし、僕もそう感じました。(「解説本」の是非はともかく。)それ以外にもいろいろと気になるキーワードはあるのですが、今回読んでみてひっかっかたのが「砂場」です。はじめの方に直子の故郷の話を聴いている場面で、「僕」はわざわざ「砂場」の存在について問い合わせています。また後半、双子とゴルフコースの場面では「砂場は神聖なものなんだ」という台詞があります。よくはわかりませんが、ある種の「伝えたい気持ち」が伝わってきます。

そんな風に読めば読むほど、いろんな新しい発見があったり、違った感じ方ができる小説って良いですね。

今津灯台ところでこの「1973年のピンボール」を読むたびに思い出す風景があります。それがこの2枚目の写真です。これは西宮の今津灯台です。作中に出てくる灯台のモデルはたぶん別の灯台(たぶん西宮浜)だと思いますが、僕はこの灯台を思い浮かべてしまいます。何となくこの灯台が好きなんです。(だからわざわざ去年写真を撮りに行った。)この作品や「風の歌を聴け」を読んでいると、無性に夙川や西宮浜、神戸に帰りたくなります。


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