都響「トゥランガリラ交響曲」

都響の第668回定期演奏会は大変おもしろい演奏会でした。「オンド・マルトノ」って楽器なんて知ってる?

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指揮:イラン・ヴォルコフ
ピアノ*:児玉桃
オンドマルトノ*:原田節

・ドビュッシー:バレエ音楽『遊戯』
・メシアン:トゥランガリラ交響曲*

いやー、すごかったですよ今日は。まずはドビュッシーですが、なんかやたら複雑な曲。演奏者はやたら忙しそうで、楽譜のページをめくるのも大変そうでした。この曲をバランス良くまとめあげた指揮者は大変すごいと思いましたが、正直曲としてはイマイチよくわからないまま終わってしまいました。さらに次の曲がすごすぎたために全然印象に残ってない…。

今日の指揮者はイスラエル生まれの同い年、イラン・ヴォルコフさん。一時のキアヌ・リーブスみたいな髪型(長髪、サラサラストレートヘヤー)がなかなかカッチョいい。僕もあんな髪型にしてみたい。この人、同い年だから贔屓目に見ているのかも知れませんが天才です、きっと。理由はわかりませんが、そんな風に感じました。頭に浮かんだワードが「天才」。

そう思わせたのがメシアンのトゥランガリラ交響曲。全部で10楽章まであるのですが、とにかく全編起伏に富んだ、ジェットコースターのマラソン版みたいな曲でした。すっごくおもしろかった。

ピアノは児玉桃さん。この人はメシアンさんを得意としているらしいのですが、確かにメシアンさんの楽曲への愛着がひしひしと伝わる、素晴らしい演奏でした。今年の3月に僕はこの人のモーツアルト・ピアノ協奏曲24番を聞いて正直イマイチに感じていたのに、今回は印象が全く変わりました。やっぱ曲への愛情が違ったからなのかな。(僕がモーツアルトをあんまり好かないだけですが。)

そしてオンドマルトノという楽器を初めて聞きました。というか初めて知りました。事前にWiki-Pediaで予習していたのですが、要はテルミンの発展版みたいな楽器。ワイヤーに通した指輪を左右に動かして音程を決め、音波をアンプから増長して出力するようです。またワイヤーの上に鍵盤もついていて、そっちを弾くこともできるらしい。とにかく珍しい楽器であることはたしかです。

基本的に音色はテルミンに似ています。お化けのようなヒョヨヨ~ンとした音。しかし電子的に音色を変えることもできるらしく、ちょっとフルートっぽくしたり、バイオリンっぽくしたりもできます。曲中ではクラリネットと掛け合いをする場面や、弦楽器と同調する場面、またソロで美しいメロディを奏でたり、効果音みたいな音を出したりと大活躍でした。奏者の原田さんは世界的なオンドマルトノ奏者(オンディスト)だそうで、本当に完璧な演奏のように聞こえました。

なにより曲がもうすごい。一部の楽章をのぞいてはもう本当にジェットコースター。しかも音量が総じて大きく、時には銅鑼がゴワワーンと鳴り響きます。「すごさ」では今年1番です。そうですねぇ、ラヴェルの「ボレロ」のクライマックス部分がしょっちゅう出現するような感じ、と言えばわかりやすいでしょうか。

このすごさはCDを聞いてもわからないかも知れません。またいつか生で聞いてみたい。

こんな複雑怪奇で長大な曲を、この若さで指揮できるよなぁ、イラン・ヴォラコフさん。最初から最後まで全然飽きさせない演奏。かなりの数のブラボーが飛んでいました。この人は今後注目ですよ、きっと。

こんな風に全然知らない曲と出会うことができるのが定期演奏会のいいところです。単品じゃまず買わないもんね、こういうマニアックな曲だと。それにしても今日は本当に面白かった!満足、満足。


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