色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

村上春樹さんの新作が発売されました。テレビのニュースではこのところの恒例となったかのように、見当違いな特集を組んで(一部の)人々の熱狂を報じています。正直とてもイヤな気持ちになりますよね。たぶんノーベル賞候補だなんだと話題になって以降だと思うのですが、どうにも好きになれないです、世の中の反応が。


以前はこんなことなかったよー


僕が大学生の頃に発売された「スプートニクの恋人」という作品があります。今回の「多崎つくる」と同じく「長大な作品の後に出た『短めの長編』」というポジショニング。実は村上春樹さん作品の中で僕が一番好きかも知れない小説。

その「スプートニクの恋人」の発売日。僕は朝から大阪梅田の紀伊国屋書店に買い求めに行きました。が、売ってません。そんなはずはなかったので、書店で調べてもらうと

「あー確かに今日が発売日ってなってますが入荷されてないですねー」

とか、そんな温度だったんですよ、そのときは(笑)。僕はあきらめきれず旭屋書店などの大阪の大書店をまわりましたが、どこも入荷しておらず。出版社に電話してみたら「大阪は2、3日後になると思います」だって。あの時は心底がっかりしました。

当時だって村上春樹さんは他の小説家とは一線を画するほどの大人気作家。「ねじまき鳥クロニクル」もBOOK 3が完結済み。どーしてあんな感じだったのかは謎です。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年


これまたリストのピアノ曲が人気になりそうですね。僕は個人的には「羊をめぐる冒険」を思い出しました。鼠と、鼠に起こった「羊つき」。あとはやっぱり村上春樹作品にとって色はとても重要な要素。「羊」や「ノルウェイの森」での緑と赤や、「国境の南、太陽の西」での服の色とか。今回は特にタイトルにまでなってますからね。これから読む人は色に気をつけて読み進めてみてはいかがでしょうか?

あと個人的には多崎つくるさんが僕と同じ36歳であり、また少なからず彼の人生に自分の人生を重ね合わせざるを得ない部分がある、という点で非常に興味がそそられました。2度、3度と繰り返し読みたいです。

今回のは今までの作品よりも、より多くの人が素直に楽しめる小説なのではないかと思います。

ですが言うまでもなく、小説は1つのメタファーです。小説の形をとってでしか伝わらないものがあって、僕はその小説の形をとってでしか伝わらないものを愛します。

というわけで、今日は有休をとってゆったり過ごしている僕でした。ではまた!

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