それにしても今回は各所各所に過去作品のエッセンスがちりばめられているように感じました。特に感じたのは、たとえば以下の作品
長編だと
・ノルウェイの森
・世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
・ねじまき鳥クロニクル
・海辺のカフカ
短編だと
・めくらやなぎと眠る女
・4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子と出会うことについて
・神のこども達はみな踊る
・タイランド
これらの作品を思い出す瞬間がけっこうあったように思います。その辺のことはきっと作者も意識しているはずで、そうでなければ「手風琴」なんて言葉をわざわざ使わないですよね。「手風琴」に今回はさほど意味はなさそうですが。そういうのってディープな読者に向けた秘密の暗号みたいで少しだけ嬉しい。
森の中の物語は「海辺のカフカ」で語られましたが、今回はあまり語られていないように感じます。いや、あるいは…。その辺のことはまた読み返した後に書いてみたいと思います。いずれにしても「1Q84」と「海辺のカフカ」には共通点が多くありそうですね。
主人公の性格はいつもどおりなので、その辺では「スプートニクの恋人」を思い出します。あと「蜂蜜パイ」「日々移動する腎臓のかたちをした石」も。
あと牛河という下卑た人物が登場するのですが、それが「ねじまき鳥クロニクル」に登場する牛河と同一人物っぽいのはさておき、彼が手のひらを何度もひっくり返して見たしぐさは僕にあの鼠を思い出させます。彼の存在意義についても極めて興味深い点が多々ありますね。ああ懐かしの羊男は今どこに?
村上春樹さん本人が読者とのやりとりメールの中で明かしていたのですが、彼の作品はすべて「同じこと」を描こうとしています。おおもとのテーマは変わってない。今回の「1Q84」を読んでも、確かにそのことは感じられるような気がします。
BOOK 3、出てほしいなぁ。アレはどうなったの?とかそういう結果的なモノを求める気はないけど、「ねじまき鳥クロニクル」で言うところのナツメグとシナモン的なるものは、まだ登場していませんよね。(あ、そんなこと…ない?)彼らの助けを借りて、青豆を救出してほしい、1Q84から。……ないかなぁ…。
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