有名な絵本「かわいそうな象」を読んだ藤子不二雄さんが、話の結末をハッピーエンドに変えて作ったのがこの「ぞうとおじさん」らしいのですが、知らない人は是非読んでみましょう。
戦時中の動物園の話。軍隊の命令で殺せと命じられた象を助けようとするのび太とドラえもん。
ドラえもんらしい、心温まる話です。
これを読んで、すごく心にひっかかったのが、(昨日たまたま寝る前に読んでいたのですが)村上春樹の短編小説「象の消滅」です。
「ぞうとおじさん」では象はスモールライトで小さくされて脱出します。「象の消滅」でも象は「小さくなって」どこかに消えてしまいます。
頭にうかぶ情景がすごく似てます。
村上春樹さんが果たしてドラえもんを読んだことがあるのかということは、僕の想像力を凌駕した問題なので何とも言えないのですが、不思議な符合です。
村上春樹さんの初期の作品には「象」が象徴的な存在としてしょっちゅう出てきます。「象工場」なんてのも登場したりして、そこでは小人たちが象を「生産」しています。いったい何を意味するのだろう?
僕は個人的には「イノセントな良心」みたいなものだと考えています。
たとえば「象の消滅」では、最後「僕が便宜的になればなるほどモノは飛ぶように売れる」みたいな表現がでてきますが、これはきっと「何かを捨てて大人になってしまった」みたいなことを言っているように僕に感じられます。
違う点は、「ぞうとおじさん」では象は消滅しないこと。象はスモールライトで小さくされてアフリカのジャングルに送られ、そこで再び元の大きさに戻ります。そして象が死んだとばかり思っていたのび太のおじさんと再会し、のび太のおじさんに温かい思い出をプレゼントするのです。
今度動物園で象をながめてみようっと。確かに象って子供の頃を思い出させてくれるような気がします。
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