ストイック君

ミドリフグのストイック君が亡くなりました。

原因はおそらくイソギンチャクだと思います。こないだまたイソギンチャクが大移動しました。そしてストイック君の寝床付近に定着してしまいました。そのときにストイック君はダメージを負ったらしく体の右半分が少し黒ずんでいました。

でもそのときは全く問題ないように泳いでいました。そのように僕は思ってました。スキーに出発する直前のことです。1泊のスキー旅行から帰ってきたら、彼はすでに亡くなっていました。キューちゃんと違って、水面に浮いていました。おそらく亡くなってから結構時間が経ってしまったのでしょう。

イソギンチャクを水槽で飼うということはこういうことなんだと今更ながら思い知りました。

もともとサンゴ水槽でミドリフグを飼うことは無謀なことだったのかも知れません。思えば去年の10月以降、サンゴやイソギンチャク、そしてメタルハライドランプを導入してからというものミドリフグたちは常に調子が悪そうでした。それ以前のような真っ白なおなかとエメラルドグリーンに輝く背中はついに戻りませんでした。

ミドリフグたちを飼いはじめるとき、僕はいろんな書籍やサイトに書いてある「責任」という言葉を自分なりに重く受け止めて、「絶対に最後まで面倒を見る」と固く心に誓いました。聞けばミドリフグはゲームセンターの景品としてつかわれたり、また見た目の可愛さから安易に飼い始めてすぐに死なせてしまう人が多かったりと、そんなことが多々あるそうです。ミドリフグに限らないことですが、ペットを飼うというのは人間のエゴです。でも、だからこそその環境の中で幸せに過ごさせてあげるよう最大限の努力をするべきなんです。たとえその努力自体が人間の身勝手さだとしても。

ミドリフグを飼いたいと思って始めた熱帯魚飼育ですが、ついにミドリフグはいなくなってしまいました。思えば、僕の20代最後の3年間は、彼らとともにありました。本当にありがとう、そしてゴメンなさい。

・・・

これは本当の話。

ストイック君の亡骸をいつものビーカーにすくい、すぐ脇にある台所に向かうその途中。突然白い蛾のようなものが僕の目の前を横切りました。突然のことだし、全く予想もできないことだったので僕は当然のことながらびっくりし、ビーカーの水が少しこぼれてしまいました。家の中に蛾がいるなんて、と思いすぐに周りを見回しましたがそれらしいモノはどこにもいません。僕は本当にキツネにつままれたような気分でストイック君をキッチンペーパーにそっとつつみました。結局、蛾なんてどこにもいませんでした。

僕はその手のことは全く信じていない人間ですが、あの白い物体はストイック君の魂だったのかもしれません。それかただの幻か…。


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