過去文書「リッチ」

1999年2月10日「一人語り」に掲載

 今日は久しぶりに電車に乗って学校に来たんですが、駅のホームの自動販売機を見てあることを思い出しました。電車を使うと一人語りのネタがたくさんでてきます。

 最近僕が自動販売機で買う飲み物といえば缶コーヒーかコーラです。コーラは置いておいて缶コーヒーについてですが、普通は190g入りの小さいのを買います。ちなみに僕の今のお気に入りは初代ボスです。甘みが適当にあって後味も悪くない。まぁでも缶コーヒーの銘柄の話は、しだすときりがないのでここではやめときます。

 でも、よく考えたらこの小さいカンカン。僕が中学生の頃はこれを買ったらすごく「リッチ」でした。中学生の頃と言えば、飲み物なんてとにかく量でしたよね。のどが渇いた=たくさん飲みたい=350のカンカンというのが普通の考え方でした。間違っても190の小さいカンカンの飲み物なんて買いませんでした。あ、そういえば初代ハチミツレモンはこの小さいカンカンでしたね。でも、とにかく小さいのは買いません、普通は。

 あれは冬の寒い日だったと思います。場所は西宮北口の宝塚線ホーム。当時はまだコンビニなんてもちろんなかったんですが、あの売店のよこっちょの空間にあった自動販売機。あそこで190の缶コーヒーを買ったことをなぜか良く覚えています。なんで190を買ったのかは覚えていませんが、190を買った自分がなんかすごくリッチに思えて。「おれってリッチやろー」みたいなことを友達(たぶん山崎)に言ったことがありました。

 そうなんですよね、あの頃は「190の缶コーヒー」それだけで気分はリッチになれたんです。平和な時代でした。

 考えてみれば、そういう「190の缶コーヒー」的なものはたくさんあるような気がします。今でこそ浜学園でアルバイトをして自由に使える自分のお金がたくさんあるから、何でも気軽に買ってしまうのですが、昔は全然そうじゃなかったもの。シャーペン1本にしてもそうです。今なんか、「あ、忘れた、ほな買お」ってすぐに思ってしまいます。中学部の頃はよく人からシャーペンを借りたりなんやよくしてたのに。それとか雑誌。昔はジャンプはもとより、僕の場合は「週間ベースボール」や「ナンバー」を買おうと思ったら、それこそチマチマ小銭を貯めて、やっとこさ買えてました。

 ときどき「週間ベースボール」を買うお金がなくて売店の前で何回も何回も財布の中を覗いたりしてたこともありました。何度見ても無い物は無いのですが・・・それでもね、この気持ちわかるでしょ。ところが今では、雑誌なんて気が向いたときにいつでも買えちゃいます。

 中学生のころより、現実的にはそりゃもちろんリッチになりました。でも、自分の気持ち的にあのころのようなリッチな気分を味わうことは少なくなってしまいました。現実的にリッチになったからって(といってもたかが知れてますが)、心がリッチになるわけじゃないですからね。 これを機に、お金について少し考えてみたいと思いました。 中学生の頃の僕は、気持ち的にすごくリッチだったように思う。



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