2011年5月7日土曜日

雲に乗って

たまにはお仕事の話でもしましょうか、と。システムのクラウド化の流れについてダラダラ書いてみます。

■クラウド化が加速しています

僕のお仕事はITシステムづくりです。最近システムのクラウド化が加速していて、それを肌で感じます。クラウドってのはインターネット上に共有のシステムを作ってそれを使うこと。今までは会社に置いたサーバー上に個別にシステムを作ってました。

先日あるシステムづくりの話が舞い込んできました。もともとは地方の会社に個別にポンと作ろうとしていた小さなシステムを、やっぱりクラウド化したいってことになって僕のチームに提案依頼が来たんです。僕のいるチームではその種のシステムについてクラウド化するためのプラットフォームを開発しているからです。

■オンプレミスとクラウド

個別にポンのシステムとはいわば地元の小さな商店。地域のニーズに合わせたお店作りができる反面、たとえばそこが地震でつぶれちゃうと代わりが効きません。ちなみに個別にポンのシステム形態を、クラウドの対義語として「オンプレミス」って言うことがあります。

クラウド化したシステムとはいわば全国チェーンの大型スーパー。地震でつぶれても他の地域の倉庫から商品を持ってきたりして、代わりが効きます。またある支店が不振ならば潰して別の繁盛店によりお金をかけたりすることもできます。

実際今地域の商店は大型スーパーの隆盛により危機的な状況らしいですし、それと同じようなことがシステムづくりの流れにもおきています。これまで個別にポンで作っていたシステムのクラウド化が進んでいるんです。チェーン店にのっかった方がコストが安くつくというところも似ていて、システムを使う側からすれば、ゼロからシステム作りをするコストや管理するコストが不要というのも良いところです。



■ビジネスの継続に役立つクラウド化

システムのクラウド化が加速している原因の一つが先日の震災です。ある1拠点専用のシステムを構築・運用していて、もしそこが深刻なダメージを受けて機能しなくなると、そこでビジネスが止まってしまいます。でもシステムをクラウド化し複数拠点でそれを運用していたなら、別の拠点でビジネスを継続できます。また大事なデータも拠点ごとに保管するのではなく、インターネット上でまとめて保管できるので、無くなっちゃうリスクも少ないのです。

そんなわけで最近は「ビジネス継続計画」なんてのが重要視されています。今までは「低コスト万歳!」「安いの最高!」だったものが「ちょっとコスト増えてもいいからこの際きちんとクラウド化しとこう」的な考えに変わってきています。

■クラウド化は中小企業にこそ大事

クラウド化をはじめとするビジネス継続計画は中小企業にこそ重要です。大企業なら事業の柱が1、2本壊れたって他にあればなんとか生き延びられますが、中小企業では致命的。中小企業こそ中核事業をストップしないためのビジネス継続計画がとても重要で、そのためにシステムのクラウド化はとりあえず最低限必要な考え方のひとつだと思います。

社会全体を眺めてみても今回の震災でボトルネックになっているのが中小企業の事業ストップみたいです。トヨタのような大きな生産会社でも、下請け中小企業の生産停止により事業がストップしてしまうんですから。



■クラウド化は脱日本を加速するか?

システムをクラウド化するとインターネットがあれば地球上のどこでもそれを利用することができるようになるわけで、その業務を日本国内でやる必然性が薄くなるのは確かです。実際僕がいるチームで作っているプラットフォームは、ある業務を中国やベトナムの業者にアウトソース(代行)させる仕組みでもあります。

でも中国やベトナムで全てがまわせるかと言うとそうでもなく、やっぱり日本国内での作業は必須です。日本語の問題もありますし、回線スピードの問題もあります。情報セキュリティ的には問題が無いようシステム側で対応しているのですが、作業の質や責任感的な部分ではやはり日本の業者が有利です。(とか言いつつその日本の業者が中国人を大量に雇用して日本国内でサービスを提供しているケースもあり、いろいろとややこしい部分ではありますが。)

とは言えシステムのクラウド化はいろんな面で脱日本を加速するでしょうね。日本国内にオフィスを持たない日本の若手ベンチャーもたくさん増えてきそうですし。

■クラウド化は被災地を救う

今回たまたまかも知れませんが、僕らの作る仕組みを岩手県のとある業者が使う予定があります。それはつまり、ある大企業のあるお仕事を、その岩手の業者に委託するという形なのですが、もしシステムのクラウド化が無ければ今回その岩手の業者は仕事を失っていたかも知れません。その業者はまさに被災地に本拠地があり、そこにオンプレミスで小さなシステムを構築するというのが当初の計画だったらしいからです。

今回被災地では書類の紛失やハードウェアの損失など、物理的な損害が莫大でした。今後はクラウド化されたプラットフォームを用いることで、物理的な負担は少なくてすみますし、災害にも強いシステムを作ることができるはずです。



■とは言えクラウドは万能ではない

つい先日、超大規模なクラウド化プラットフォームを提供しているアメリカのアマゾンという会社(ネット上で本とか売ってるだけではないんですよね)が大規模なシステム障害を起こして、そこに載っかってるシステムが一時使えないという事故が発生していました。

一元化している大本(おおもと)が故障しちゃうと困ったことになるのがクラウドの弱点みたいです。もちろん故障しないようにシステムは二重化されたり守られたりしているのですが、それでも故障しちゃうのがしょせん人間の作ったもの、ってところなのでしょうか?今後はクラウド上の障害対策という視点も必要みたいです。

と、他人事で言ってる分には楽なんですが今後クラウド上のシステムを提供する会社にとってこれは恐ろしい先行事例なわけです。個別にポンで作ってる分には、何か障害が発生しても影響範囲は限定されていました。これがクラウドシステムとなると、影響範囲は大きく広がってしまいます。「すみません…」を言う対象も増えてしまいます。とくにそれがプラットフォームを作る側の話となれば大変なことです。

しかもそれを自社データセンターで立ち上げるなんて寝言を言っている某中途半端ベンダーなんかは本当にその辺のリスクに対して耐性があるのか非常に不安なところです。うちがまさにそうなんですが。

今回の原発の件でもそうですが、それが本当に低コストなのか、高利益なのか、インフラの規模が大きくなると万が一のリスクも大きいわけでその辺うちの会社はどう計っているんでしょうかね?

■システムづくり屋さん視点でのまとめ

クラウド化に対応したシステムづくりをしていくことはもはや時代の流れであり、システム屋さんの使命でもあると思います。

今回のような災害時でもビジネスを継続できるシステムにしておくこと、万が一でもいち早くシステムを復旧できる体制を構築することは企業にとっても社会にとっても至上命題です。そのためにリソースを、いろんな役割を国内・国外問わず分散しておくことも必要なことでしょう。

システム屋さんとしてはクラウド化のメリットをしっかりと生かしたシステムづくりをしていくことが大事です。あとはもちろんいかにして利益を出していくかですが、その辺はまた深いテーマです。

クラウドだけに雲をつかむような話、とは言ってられない今日この頃です。

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