2005年11月12日土曜日

キューちゃんありがとう

7e383ac5.jpg本日、ミドリフグのキューちゃんが亡くなりました。

実は昨晩、エサやりのためオーバーフローのメイン・ポンプを停止させたとき、逆流した水流にキューちゃんが引き込まれました。このメイン・ポンプは下のろ過専用水槽でろ過された水を、上の飼育用水槽にくみ上げるためのものです。(上の水槽からは下の水槽に水が落ちるしかけになっています。この水が落ちるところに魚も落ちてしまうので注意しましょう、という記事は目にしていたのですが…。)

このポンプを停止させると、1、2秒ほどの間、水が逆流してしまいます。普段は水を吐き出している口から、水を吸ってしまうわけです。僕はこのことに気づいていましたが、まさかこの口(直径2センチほど)から魚が吸い込まれるなんて思っていませんでした。さらに悪いことに、もしも吸い込まれてしまったらどうなってしまうかを一度も真剣に考えたことがありませんでした。どうしてもっと頭を使わなかったのか…。

水を吐き出すはずの口から、逆流して吸い込まれると、ホースを伝い、行き着く先はポンプそのものです。キューちゃんはポンプの中に吸い込まれてしまいました。

ポンプまでの配管には見えない部分もあり、最初はどこに行ったのかがすぐにはわかりませんでした。吸い込まれたところから大量に水を流してみました。ホースの部分を見てもキューちゃんらしき影はありません。僕は大慌てでポンプからホースを取り外しました。するとホースをはずした口からキューちゃんの後ろ半分が見えました。僕はこの数年でもっとも慌てました。そして死を感じました。一瞬軽いパニックにおちいりそうになりましたが、そのときキューちゃんの尻尾がプルプルと動きました。「まだ生きてる」。僕は急いでポンプを分解しました。ポンプは洗浄するために、ドライバーとかなしで分解できるようになっていました。

プロペラのところに頭がつっかえた状態でキューちゃんがいました。一瞬「もしどうしようもない状態だったらどうしよう」と考えましたが、幸いなことにちゃんと魚の形をとどめていました。さらにプックリと膨れていました。彼が膨れているのを見たのは、彼を飼い始めてすぐのとき以来です。しかし膨れているために、プロペラに体が食い込んでしまいすんなりと体が抜けてくれません。でもプロペラごとグッと持ち上げるようにして彼を救い出しました。とりあえずそのまま下の水槽に落とすと、パタパタパタと泳ぎました。すぎに手ですくい、上の水槽に戻しました。見た感じ体に大きな傷はなさそうです。

上の水槽に戻ったキューちゃんは一応ヨタヨタとした感じで泳いでます。エラびれや背びれや尻尾もちゃんと動いています。「なんとか助かったかもしれない」、そう思いました。でも動きが少し変です。しばらくすると水槽の端のほうに、サンゴ岩に引っかかるような感じで停止しました。ヒレはパタパタしてるのですが、体全体の動きをとめて休んでいるかのようです。僕はもう心配でなりません。でもそこからさらにしばらくするとまた泳ぎだしました。先ほど大慌てでポンプを分解したり、配管をはずしたりしたので、それを組み直しました。再度オーバーフローを起動すると、その口から吐き出される水流に乗って、行ったり来たりを繰り返しています。なんとか助かった、そう思いました。

しかし翌朝(今朝です)見てみると、キューちゃんはまた端っこで停止しています。口もパクパクして苦しそうです。ちょっとだけ岩を動かしてみると、一応パタパタを泳ぎだしますが、すぐまた停止していまいます。もうむちゃくちゃ心配です。でもさすがに会社を休んで看病するわけにもいかず(悪いことに今日は朝から打ち合わせ→客先訪問があった。これがなければ休んでいたかも)、「帰ってきてもしこのまま調子が悪そうだったら、速攻でいつもの熱帯魚ショップにいって、外傷用の薬を買おう」と心に決めて、しぶしぶ会社に向かいました。

定時で会社を出て、6時20分ごろに家に着きました。キューちゃんは相変わらずサンゴ岩の上で停止しています。あーやばい、薬を買いに行こう、と思ったそのときです。キューちゃんのヒレが動いていないことに気づきました。…。おそるおそる菜箸(ピンセットの代わりにつかっている)で、キューちゃんをつついてみました。反応がありません。

キューちゃんは死んでいました。…。箸でつまんでみると、体が硬くなっていました。写真はそのときのキューちゃんの様子です。見てもらうとわかるように、こちらに顔が見えない状態で、まるで休憩してるかのような状態で、彼は死んでいました。

僕は想像します。きっと彼は僕が帰ってくるのを待っていたのではないか、最後の最後まで、命の最後の一瞬まで耐えて待っていたのではないか。でも僕が家の玄関をあける直前ぐらいに、ついに力尽き逝ってしまった、そんな風に見えます。そう見えませんか?

彼が横たわっているサンゴ岩は、彼をお店で飼ったときに譲ってもらったサンゴ岩です。この水槽の中で彼とストイック君、そしてこのサンゴ岩だけがもっとも最初から存在していたものです。彼が最後の場所をここに定めたのは決して偶然ではないでしょう。そして帰ってきた僕に見えるような形で、ずっと待っていてくれたのでしょう。

願わくば最後の瞬間は眠るように安らかに逝っていてほしいです。

魚を亡くしたのは、初めてです。

僕が熱帯魚に興味を持ったのは、とあるホームセンターで売られていたミドリフグを見たときからでした。僕もミドリフグを買ってみたい、と思い飼育をはじめました。ネットや本で情報をあつめると、飼育は決して容易ではないと書いてあります。僕は魚を飼うのがはじめてということもあり、常に慎重に、慎重に、彼を飼ってきました。飼い始めるまえには2週間水槽を空回ししました。ろ過装置も2重化しました。万全の体制で彼らを飼い始め、そして絶対に死なせるものかをここまで一緒に生き抜いてきました。途中、塩分濃度が急上昇したときは耐えてくれました。白点病の治療に四苦八苦したときもありました。カクレクマノミたちが来たときは最初は攻撃しましたが、すぐに仲良くしてくれました。そして2度もの引越しに無事耐えてくれました。…。それなのに、こんなに突然なくなってしまうなんて悲しすぎます。

キューちゃんは特別なミドリフグでした。もう1匹のストイック君と違い、とても愛想がよく可愛げのある性格でした。写真をとると、キューちゃんばかり写ってしまいます。彼だけがカメラの前に寄ってくるからです。僕が水槽の前に立つと、必ず僕の方に寄って来ました。そんな愛くるしいミドリフグでした。

僕はやりきれない思いでキューちゃんを手ですくい、普段水替え等で使っている計測カップに彼を移しました。カップの下にキューちゃんが沈みます。ちゃんと白いおなかを下にして、本当に生きているみたいにカップの下に停止します。でももう彼に表情はありません。何度もカップを振ってみます。ひょっとしたら動きだすんじゃないかと、本当にそんな感じに思うんです。でもやはり動きません。やっぱり僕が帰ってくる直前まで耐えて生きていたんだな、と思います。そうじゃなければこんな綺麗な状態のわけがありません。でも、このまま放っておくと遅からず腐敗が始まってしまいます。僕は本当にやりきれない思いで、カップの水を流しにこぼし、キューちゃんをキッチンペーパーに乗せ、やわらかくくるみました。

僕は車で幕張まで行きました。僕がもと住んでいたところです。千葉マリンスタジアムの裏の方に、川が海に流れ込むところがあります。彼は本来そういう海水と真水の混じった汽水域に住む魚です。僕の自己満足でしかありませんが、彼を神奈川の海に連れて行くことは何故か許せませんでした。彼を飼い始めた地の海へ還そう、と。

僕はキッチンペーパーをとり、海が見える橋の上から、彼を葬りました。せめて最後は海へ還れよ、と。長い間本当にありがとう。君のことは決して忘れない。…。

��003年2月15日から今日までの間、本当にありがとう。君がいたから、僕は一人暮らしでも楽しくやってこれたのかもしれない。本当は寿命まで飼ってあげたかったんだけど、僕の不注意でごめん。本当にごめん。君の人生は君にとってどうだったんだろう?願わくば、それほど悪くなかったよ、と思っていてほしいな。…ごめん、さようなら。

僕にしては珍しく、今日のことを茶化すつもりは一切ない。

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