あまり大きな声では言えないのですが、先日息子がおぼれかけました。それほど大ごとにならないうちに私が助けたのですが、おぼれた人間を助けたのは初めてのことでした。強く思ったのは「おぼれている人間を助けることは、非常に難しい」ということです。中学高校と水泳部で人よりもだいぶ水泳が得意なはずのこの僕でもそう思いました。恥を忍んでこの知見を共有したいと思います。
とにかく水に入ることが好きな息子ですが… |
そこは湖で、湖畔から数メートル行くと大人でも足が立たないほど水深が急に深くなる場所です。当然遊泳は禁止されています。(水辺での水遊びは許容されています)
息子はそこで知り合った同年代の外国人の子供と仲良くなり遊んでいました。途中ボール遊びになり、遊んでいたボールが湖の数メートル先に飛んでいってしまいました。僕はそれを見て「ボールはあきらめなさい!」と言いつけましたが、息子はそれを聞かず「オレがとってくる」と湖をズンズン進んでいってしまいました。(もともと服はずぶ濡れです)
それまでにも何度か湖を進んで背の立たなくなるポイントはわかっている息子でしたので、途中であきらめるかと思いきや、あきらめずにそこから先に行ってしまいました。体は浮いて立ち泳ぎの格好に。スイミングに通っている息子ですが、クロールと背泳ぎが15m泳げる程度の泳力ですし、なにより着衣、サンダルばきです。水着ではありません。
この時点で僕はジーパンのポケットに入れていた財布や車のリモコンキーを取り出しました。助けに行く可能性を感じたからです。でもしばらくはまだ見ていました。どこで諦めるのか、それとも泳いで取りに行くのか。(今から思うとこれは危険なカケでした。その後の救助の難易度を考えると、本当ならこの時点で助けに行く/止めに行くのが正解だったと思います。)
息子はボールに手を触れそうなところまで進みましたが、手を伸ばしてボールに触れることはかなわず。逆にボールはどんどん遠ざかっていきます。そしてどうにか顔を水面より上に出しています。そしてギリギリ聞こえるぐらいの声で「とうちゃん、助けて」と。
僕は躊躇せずにジーパンをはいたまま湖に入りました。あまり慌てる感じを出さずに、たんたんと息子のもとにむけ歩を進めます。すぐに僕の足も立たなくなり、そこからは平泳ぎのキックとざっくりとしたクロールで進みます。距離にして5メートル程度なので息子のもとにはすぐに辿り着きました。
ここからどうやって息子を移動させるか。僕は一瞬悩んだ結果、逆サイドにまわり(つまり僕の進行方向の先を岸にして)息子を押す作戦をとりました。「引っ張って泳ぐ」は難易度が高いと思ったからです。逆サイドにまわった僕は息子に落ち着いた声で「大丈夫か?」と聞くと、幸い目を見て「うん」としてくれました。パニックにならなかったことが非常にラッキーであり、浮いて待っていられた点はスイミングの経験が生きているのだと思います。
岸側を背にして浮いている息子の脇の下だったか腰だったか(忘れました)を両手で持って、両手を伸ばして、平泳ぎのキックを打って息子を岸の方に押すことに成功しました。学生時代は平泳ぎの選手だった僕の全力のキックをかなりのハイペースで連発することで、息子を沈めることなく、押し進めることができました。運動不足の僕は息ぜーぜーです。
息子はそれなりにショックを受けていたので、無下に怒鳴りつけることはせず、その後「本当に危なかったんだぞ」ということを静かに言い聞かせました。
・・・
今回の件、最大のラッキーは
・僕がずっと見ていたこと
これに尽きます。もし僕が見ていないときに同じことがあったらと思うと心からゾッとします。
そしてもう一つは
・息子が落ち着いていたこと
です。落ち着いていた息子を岸に持っていくこともかなりのハードワークでしたが、これがもしパニックになった子供だったらどうしたらよかったのだろうと思います。
ロープや浮き輪はすぐに用意できないですし(これが遊泳禁止の場所の怖さ)、代わりに服をロープがわりに子供に握らせたととしても、足のつかない中その服を引っ張って岸まで泳げる人は世の中にどれだけいるでしょうか?
今回はさらに
・岸まで数メートルの場所であったこと
が大きいです。仮に子供がパニックになっていたとしても、僕の泳力ならノーブレスで一気に子供を岸まで押すことは可能だったでしょう。(泳ぎが得意じゃない人にそれができるかと言えば出来ないと思います)これがもし岸から20メートルも離れた場所だったとしたら、どうにかできたかわかりません。パニックになった子供に頭を抑えられ自分も呼吸ができずに力尽きるかも知れません。
ちなみに一緒に遊んでいた外国人の子供の親やグループからは一切の反応がありませんでした。見ていなかったのか気づかなかったのか文化の違いなのか。
息子のやんちゃさがこの時は危険を招いてしまいました |
教訓
・小学生になっても水辺で子供から目を離してはいけない
・水辺でボール遊びはさせない
・子供にはやばくなったら浮いて待つよう教育しておく
あとは水辺で遊ばせる際はライフジャケットを着用させる、も大事ですね。今後も釣り等で砂浜や岸辺に行くことがあると思いますが、必ずライフジャケットは着せようと思います。
これからの季節、子供と水辺に行く機会は増えると思いますが、たとえそれがプールでも危険はあります。まずは子供がおぼれるような機会を避けること、そして万が一のためにおぼれそうなときどうするかを親子でシミュレーションしておくことが大事だと思います。
この件は自分にとって反省が大きいです。しばらく夢に見たくらい、心の悪寒が取れませんでした。皆様におかれましては、こんな経験をしませんように。ではまた。
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