今現在、僕が2008年から定期会員になっている都響(東京都交響楽団)は、指揮者エリアフ・インバルさんとともに作曲家グスタフ・マーラーのツィクルスつまり全曲演奏会シリーズを展開しています。マーラーの交響曲第1番から第9番までを2年間かけて定期的に演奏しているのです。
僕はもともとマーラーって好きじゃなかったんですよ。聞かず嫌いってのもありますが、最初に聞いたのが交響曲第8番「千人の交響曲」で、「なんか大がかりで派手だけど意味がよくわからない…」って思ってしまったのです。もともと僕はピアノソロが一番好きだったこともあり、オーケストラでもせめてベートーベンくらいのシンプルな構成(なんですよ、実は)を愛好。とにかく大規模編成はちょっと敬遠気味だったのです。
ところが都響は伝統的にマーラー演奏に熱心に取り組んできたオーケストラ。そしてマーラーと言えばまさに大規模編成の交響曲です。「うーん」と思ってました。
が、風向きが変わってきたのが2010年のマーラー交響曲第3番を聞いたあたりから。交響曲第3番は超絶長い(100分くらいある)のですが、当時僕はそれをすごく楽しめたのです。相変わらず「よく分からんなぁ」とも思いましたが、それでもちょっと「なんかマーラー、いいじゃん!」って。続く交響曲第4番はうって変わってシンプルな4楽章形式、演奏時間も50分ほどのいわば普通の交響曲なのですが、そこでも「あー美しい。そして深い!」などと分かりもしてないのに感動していったわけです。
で、今年から始まった新マーラーツィクルス。先日のマーラー交響曲第3番が、それはそれはもう素晴らしかった〜!の、ですよ!!
この交響曲、とにかく長い。の、ですが今回は楽章楽章ごとの「聴き所」がきちんと分かっていたため、より楽しめたのです。2010年の都響演奏はCDで販売されているのですが、当時それを買って何度も何度も聞き込んでいたからでしょう。
第1楽章はとにかく長いけど、その中に物語りがある。途中のマーチ的な部分なんて、何度も何度も繰り返されるウチに否応ナシに頭に残っちゃうのですが、そこが好き。あと気の毒なくらい長ーいトロンボーンのソロも。
ちょっとホッとする第2楽章。大変美しいけど、ここで寝ないことが肝心(^_^)!
第3楽章はなんと言ってもポストホルン。先日の都響ではトランペット首席の高橋さんが楽章前に舞台裏に下がってそこから吹いていました。そういう演出なのです。このポストホルンってのはトランペットの仲間?で演奏がとても難しいそうなのですが、先日の演奏は本当に、神がかり的に、超絶美しい演奏でした。オーケストラと会話するような感じでポストホルンのソロが度々挿入されるのですが、そこが待ち遠しくなるほどでした。(ちなみに僕が持ってる都響CDとは全然音が違うと思うのですが、どうでしょう?)
第4楽章はアルト歌手の独唱とコンサートマスターのバイオリンソロの絡み合いが最高。前回も今回もコンマスは四方さんだったのですが、本当に素晴らしい。
第5楽章には児童合唱が入ります。交響曲第4番ともよく似た「お馴染み感」ある旋律が登場。
そして圧巻の第6楽章。壮大なクライマックスです。ここまで寝ないで聞いていたら絶対に感動します!!
ベートーベンやブラームスみたく無駄の無い「筋肉質」な感じとは全く異なり、「アレも言いたい、これも言いたい」と言いたいことは軒並み全部押し込んだ感がアリアリの、いわば冗長な作品ですが、それでもこうして1個の作品に仕上がるってのは正に天才の所行ですよね。
というわけでマーラー交響曲第3番が大好きになりました!!これはすごい。
この辺の記事にも、僕の好きな曲の話があります。よろしければ。ではまた!
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