ベートーベン第九

今日は第九のコンサートに行ってきました。

実は今月3回目の第九コンサート。3回それぞれに個性があり、良いところがあり、総じて感動しました。

まずは大阪でのサントリー・1万人の第九。これは僕の母が合唱で参加していることもあり2年に1度ぐらいのペースで聴きに行っています。指揮は佐渡裕さん。今年はオーケストラに至近距離のアリーナ席という絶好のポジションで聴くことができました。ゲストは中島美嘉さん。生で見ると細い細い。歌も素晴らしかった。

プロのオーケストラではないから演奏はカンペキじゃないものの、若さと勢いからくる迫力はなかなかすさまじいものがあります。コントラバスの数が多いから、第4楽章の例のテーマが提示されるところなんかは、じわっと感動します。そして何と言っても1万人による大合唱!これはもう有無を言わさぬ迫力!1万人もの人間が心をひとつにして高い意識を持って一所懸命に歌ってるんですよ。上手い下手とかそんなのを超越した宇宙的なすごさを感じます。合唱に参加するには12回(経験者は6回)のレッスンを受けないとダメで、欠席は2度(経験者は1度)までしか許されないという厳密なルールがあり、そのおかげで(上手い下手はともかく)この大人数にも関わらず高い参加者意識が保たれているようです。まじめにレッスンを受けていた合唱の方たちの「歌いきった!」という感動が否応なしに伝わってきて結構感動できます。

次に先週末。川崎市民第九コンサートをミューザ川崎シンフォニーホールで聴きました。当日券で買った席はホールの本当の本当に一番うしろ。4階席最後列中央でした。お値段は1000円。でも音量的に全く不満もなく、十分に音楽を楽しむことができましたよ。

オーケストラは宮前オーケストラという川崎市民のアマチュア・オーケストラ。合唱団ももちろんアマチュア。なので演奏のクオリティはとても低いものでした。これがプロオケなら不満も出ようものですが、なにせアマチュア、そして1000円です。一生懸命演奏している姿を応援しながら、暖かい目で見ることができました。ホルンやトランペットのミスがすごく目立つんですよね。なにせホルンって難しい楽器らしいし、トランペットは音が大きいから目立っちゃう。だから難しい箇所をクリアできたときは心の中で拍手し、失敗しちゃった場合は「気落ちせず頑張れ!」みたいな。そんな感じで退屈せずに、ある意味集中して最後まで聞くことができました。合唱団も練習の成果がとても感じられて良かったです。

逆に感じたのは第九という音楽のすごさ。少々演奏がヘタッピでも、音楽のすごさがそれを補って余りある。

そして今日は耳の口直し(?)としてプロの第九を聞いてきました。「聖響×第九」と題された、日本の若手No.1指揮者とも言われる金聖響と新日本フィルによる第九プログラム。…のはずが、なななんと金聖響がギックリ腰でダウン!急遽代役としてダニエル・ハーディングさんっていう指揮者が棒を振ることになりました。このダニエル・ハーティングさん、僕は知らない人だったのですが、若干18歳でベルリン・フィル・デビューを飾るなど結構センセーショナルで優秀な方だそうです。金聖響よりもさらに若くて、なんと僕の1コ上。さてどうなるか。

場所はミューザ川崎シンフォニーホール。今回はバックステージ1列目という面白い席を取ることができました。お値段はB席5500円。指揮者がほぼ真正面でこっちを向いているので、まるでオーケストラの一員になったかのような感じが味わえました。この席はお勧めですね。音響も全く問題ありませんでした。

今回は古楽器奏法というベートーベンの時代のオーケストラ編成を再現した形で演奏されました。コントラバスの位置が第一バイオリンの右横だったり、そのコントラバスの位置に第二バイオリンがいたりと、楽器の並びも通常と異なりますし、また人数もおよそ3分の2(コントラバスはなんと4人だけ!)でした。

この第九は非常に新鮮かつ素ん晴らしいものでした!金聖響さんからダニエル・ハーディングさんに音楽的引継ぎがなされたのかどうかは知らないのですが、「スッキリだけどコクがある」演奏でした。偉そうぶらない、と言うか、押し付けがましくない、と言うかとてもシャキッっとしてスッキリとした演奏。かといって薄味ではなく、しっかりと味がある。ハッキリ言って凄かったです。真に「惜しみない拍手」を演奏後に贈ることができました。会場からも「ブラボー」が多数飛んでいました。僕も「ブラボー」って叫びたかったけど恥ずかしくて出来なかった、いつかきっと(笑)。

そうそう合唱も、小澤征爾さんにゆかりのある晋友会合唱団によるもので、今まで聞いた中で最高に美しい合唱でした。

聴けば聴くほどベートーベンの第九はすごい音楽です。みなさんも是非。


0 件のコメント :

コメントを投稿